第25回 全国夏期セミナー報告 
大阪セミナー/主催:"人間と性"教育研究協議会
 
 
■ 第一日目(7/28)  第二日目  第三日目
 
 第25回夏期セミナーが大阪で開催されました。
 7月28日は「なにわ」の日。
 暑い”なにわ”でいま、熱き大会が開会されました。その真夏の日差しもひるむほど、さらに熱い演技を魅せてくれたのが、松原高校生「るるくめいと」のみなさんが演じる開会アトラクションでした。
・開会アトラクション 「るるくめいと」による「エイズ・ピア・エデュケーションのーと」

[「るるくめいと」って?]

 HIVエイズについて知り、行動しようとする大阪府立松原高校生の自主的なグループです。ピア・エデュケーター、つまり同世代の伝達者として、6年に渡って中学・高校・大学など多くの場所で出前授業を行ってきました。大阪近辺の学校を中心に、遠くは北海道や広島県へ出かけたり、昨年の神戸国際エイズ会議でも発表しています。
 るるくめいとは99年に、当時の松原保健所の保健師、飯沼恵子さんが、高校生向けのエイズについての学習会「るるく講座」を始められたことがきっかけでスタートしました。総合学科高校である松原高校の地域連携や体験学習のカリキュラムもこの活動を支えてきました。「るるく」とは知る・考える・動くの略です。

[るるくめいとのみなさんから]

 ・私たちの公演を聴いて頂いてありがとうございました。私たちのメッセージが少しでも多くの方に伝えられていったらうれしいです。私たちは、どこにでも行きます。ぜひ呼んでいただいたら嬉しいです。たくさんの人の心に響く公演をして行きたいです。(M)
 ・緊張がすごかったけれど、先生方の優しい視線とかがあって、すごく自然に出来ました。「おにいちゃん」という声が大きくてすごくうれしかったです。私はアクマ役だったのですが、笑ってくれて「ホッ!!」としました。すごく楽しかったです。またいろんな場所に呼んで下さい(I)
 ・今回は、とても大きい舞台でとても緊張しました。でも、もっともっと大きい舞台や人数の多いところで公演してみたいです。全国どこでも公演しに行くんで、呼んで下さい!!私たちの公演でHIV/AIDSのことを少しでも理解してくれたらうれしいです。(T)
 ・ぜひ、みなさんの学校へ呼びかけ待ってます目標は全国制覇です!!本当に偏見や差別がなくなり、理解が広まればいいなと思ってます(M)
 ・今回は、公演を見て頂いてありがとうございました。すごく緊張していて、上手くいかなかった部分や、省略する部分が多くあったので、またいろんな所で、上達した公演をしたいと思います。だからぜひ呼んで下さい(N)

[寄せられた感想より]

・心無い大人に負けないで…
 若い人たちがよく考え、行動し、HIVについての正しい知識の普及、差別・偏見のない社会の実現に向けての熱意に感動しました。「最後に私達から三つ言いたいことがあります」という内容から、よく考えていない心無い大人からの圧力が彼女たちに精神的な負担を与えないことを切に願いました。これからも“るるく”の活動の場が大きく広がるように祈っています。(北海道YK)

・愛知にも“るるく”を呼びますよ!
 “るるく”の実演・熱演でしたね。クイズもペープサートもコンドーム劇の心の中の悪魔と天使の声も、そして最後の伝えたいこともよく考えられていてよかったと思います。一緒に考えていこうとするピアエデュケーションが上手に使われていて、見習うこと多しです。「全国に行きます」という力強い言葉も、直球で受けて早速呼ぶ準備をしたいと考えています。また連絡しますので、よろしくお願いします。(愛知SR)

・若桑みどり記念講演
[暴力にさらされる子どもを守るために、われわれになにができるか]

若桑みどりさん(千葉大学名誉教授)

 今の日本は非常に悪い状況にある。幼い子どもが殺される。性的虐待にあっている。今の日本は強者の社会。弱者を切り捨てている。一番弱い女の子たちが男性の暴力にあっているのはどういうことなのだろうか。
 社会の枠組みの中に、暴力を是認する仕組みがある。暴力と権力のあるところでは、トップがそれを持っている。トップは下を圧迫する。圧迫された大人たちは、ストレスを感じ、その不満を一番弱者である子どもに向ける。子どもに対する、ネグレクト(無視)、そして殺害。
 幼い女の子がレイプされ、殺されるということに、この国の政府は慄然としない。性犯罪の犠牲者を出さないようにする社会にしなくてはいけない。日本ではまだまだ子どもたちを守るという意識がうすい。
 平成13年に「DV(ドメスティックバイオレンス)の防止法」ができた。しかし、家庭とは、親によりドアが閉ざされた立ち入りにくい場所である。子どもの命が危ないという予兆があったとしても、警察が関与することができない。家庭は幸福が育つ場所であり、また、最悪な不幸がおこる場所でもある。
 DV防止法をバッシングする集団とジェンダーフリー教育や性教育をバッシングする集団は同一グループである。ジェンダーフリー教育に反対している人たちは、DV防止法にも反対している。それは、子どもに性教育をしないで、DV防止法をやめろというのだから、「子どもたちは性教育をされない子羊のままでいて、オオカミに食べられよ」ということなのである。
 東京都では、性器の名前を呼ぶのはいやらしいから、「あそこ」と呼ぶようになんていうことが本当におこっている。私たちが、子どもたちにプライベートゾーンはとっても大切なところだよと教えることは、子どもたちの幸せな未来を願うからなのである。
 日本はポルノ王国であると英国出身の臨床心理学者でアイルランド・コーク大教授エセル・クエールさんは言う。「数年ぶりの日本。東京・秋葉原周辺を案内されて驚いた。幼児ポルノ漫画を扱う書店がこんなに多いなんて。内容はグロテスクで見るに堪えない。イギリスならすぐに逮捕です」
 レイプは、最大の犯罪であり、殺人に等しいということを、私たちは、しっかりと受けとめなければならない。

[寄せられた感想より]

・子どもが安全ではない社会は病んでいる
 現在の日本はどんどん悪くなっている。若桑さんのお話にはまったく同感しました。強い者がより富み、弱いものへの視点が欠けているのが今の社会だと思います。私は小学校の教師ですが、子どもを取り巻く状況は年々悪くなっています。一人で登下校をさせることはできない。必ず集団下校で、日によっては教師が途中まで送っています。それでも不安は残ります。子どもが安全に学校に行き、遊ぶことができない今の社会はまったく病んでいると思います。この3日間で元気と勇気をもらえる予感がする講演でした。(兵庫MK)
・女性を物として扱う社会に怒りが…
 若桑先生のお話は、とても説得力があり、心にひびきました。女性を物として扱う、物だからいらなくなったら壊す。妙に納得できました。「援交」をしている少女の話も、そうだったんだーと。よいお話が聞けました。(山梨MK)
・子どもを暴力から守りたい!
 私自身の暴力への無関心さがっかりきた。(電車の)中吊り広告や雑誌など暴力を肯定する文化の中にいる鈍感さ。「何かいやだなぁー」と思うことに理由があり、社会的に作られた儲け主義の中に起因しているのだとあらためて認識しました。(北海道MS)

・とーく&トーク“からだ・いのち・権利としての性の健康”語る
 伊藤悠子さん(浪速生野病院女性科看護師)、尾辻かな子さん(大阪府議会議員)、黒瀬清隆さん(ハートブレイク思春期研究所長をスピーカーに迎えての「からだ・いのち・権利としての性の健康」をテーマに語っていただきました。
 「からだ・いのち・権利としての性の健康」のテーマをめぐってのスピーカーの体験に基づく元気の出る提言。4人の共通点は、“Sexuality”の編集長・執筆者で、柔らかな関西弁のトークでした。

◎看護師の伊藤悠子さんは、従来から親や教師から「望まないもの」、「人生を台無しだ」と「説教され」嫌われた10代の妊娠・出産をサポートする活動を続けてきた、伊藤さんの下で出来たコロコロクラブの活動には脱帽。出産を通して「80本吸っていたタバコを止め、手作りの離乳食を始めた」等の自己変革のピア・エデュケーションぶりを「産みたいあなたへ」のメッセージ集にまとめ出版した。

◎「レズビアン」とカムアウトした尾辻議員はまず、性的少数者の用語を解説しながら、中高時代から「きもい」「自分は生きている価値が無い」と悩む性的少数者のロールモデルとしてその後の1年の見聞を報告。調査により「クラスに必ず性的少数者はいる」からその事を意識してステレオタイプの対応をやめて正しい情報を伝えて欲しい。昔と比べ大学ではSexualityを学ぶサークルが増え始め、インターネットでも、世界各地で人権としての性を尊重する流れが確かになりりつつある。

◎黒瀬さんの出前の性教育は電話相談から出発した。Sexualityの学習を進め、生徒の声に依拠して工夫した教材を大きなブラックボックス(旅行鞄)に詰め込んだ。それを提示しながらの楽しい性教育の様子には、参加者も興味津々で思わず「何があるのか」身を乗り出してしまうようだった。

◎ 性教育バッシングが激しいが、子らのニーズは強い。それにひるまず、チャンス として性教育を工夫して明るく楽しく進めましょうと訴えられました。

■ 第二日目(7/29)  第一日目  第三日目

 2日目は、模擬授業・ビギナー講座合わせて午前23、午後に21本に分かれて、各テーマに沿っての実践報告や意見交換などが行われました。
 ビギナー講座では、全くの初心者の方から、改めて基本を押さえておこうという方まで多くの方が集まり、熱心
に講師の話を聞き入っていました。また、模擬授業では、全国から様々な実践報告が少人数スタイルでワークショップなど様々な授業形態を取りながら行われ、また、熱心な意見の交流がなされていました。

■ 第三日目(7/30)  第一日目  第二日目
 3日目はセミナーも最終日。理論講座と閉会行事で大阪セミナーは閉幕しました。

[理論講座]

対馬ルリ子
(ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック院長、性と健康を考える女性専門家の会運営委員)

  テーマ『垣根を越えて手をつなごう!!』

   〜医師と教師の連携〜

 

 

 浅井春夫
(性教協代表幹事、立教大学コミュニティ福祉学部)

  テーマ『性的発達のデッサンと包括的性教育の展望』

   〜子どもを大切にするための構想〜

[閉会行事]

 

 

 
戻る