性教育ニュース 【02/11/15】
「ラブ&ボディ小冊子に対するバッシング」

 
 

 5月29日に開かれた、衆議院文部科学委員会で、衆議院議員・民主党の山谷えり子さんが、中学生向けの「ラブ&ボディ」という厚生労働省主導で作製した小冊子(写真参考)を、「セックスをあおっている」「ピルを奨めている」との発言がありました。この具体的な質問は以下の通りです。
1.この教材をこのまま生徒に配布するのか、それともピルの副作用を記述し修正して配布するか。
2.この教材を使いどのように具体的な指導をしていこうとするのか。今後の計画をどのようになっているか。
3.保護者・生徒・教師・医師などの連携はどのようにとっているのか。
4.ピルの使用について特に中・高校性対象について今後の実態調査とフォローアップ計画はどのようにしていくのか。

 これを受けて遠山文部科学大臣は「冊子の策定に当たりまして、旧厚生省それから財団法人母子衛星研究会から内容などについて相談を受けたことはなく、関与しておりません。避妊法の選択のための基本的な説明が十分なされていないことなので、この本を読むだけでは適切に理解できない部分があるというのが私どもの関係者の見方でございます。(省略)これは私個人の見解でございますけれども、中学生にここまでというような気がしないでもございません。年齢段階に応じたその取り扱い方につきましては本当に大事なことだと考えておりまして、すべての情報を小さい時からというのであるのが良いのか……。」など答弁されました。文部科学大臣は中学生の実態を全く把握していない発言だったと感じます。さらに、性教育に関しては厚生労働省と文部科学省との連携ができていないことが露呈されました。マスコミ各社でも「中学生のピルのすすめ?」などというタイトルや、テレビ番組では「国が奨励? 中学生にピル?」という興味本意な内容で報道されました。また、朝日新聞8月31日付の論説の紙面にも参議院議員で内閣総理大臣政務官の亀井郁夫さんが「性教育、不足している道徳の視点」と題して、性教育の行き過ぎを指摘する論説が記載され、性教育バッシングが相次ぎました。


 「ラブ&ボディ」の小冊子を目にしていない方も多いと思いますが、内容は、二次性徴の変化を始め、メンタル・性行動・避妊・STD・性犯罪・性虐待など細かく書かれています。問題になった「セックスをあおっている」部分ですが、「10代のセックスと避妊」に書かれている内容は、「妊娠と性感染症のことを十分理解して、好奇心や興味本意で〜したい〜と思わず、感情や成り行きに流されないで真剣に考えることが必要だ」と記述されています。セックスを奨励しているどころか、慎重に行動しようと記述されているのです。ピルに関しても、「お医者さんによく相談しよう」と記述されています。このような小冊子が配布されることは、今日の情報化社会の中、子どもたちにとっては正しい知識や情報を知ることが可能になり、大変評価される冊子だと考えます。この冊子を子どもたちの「知る権利」を剥奪しているのではないでしょうか。これで性教育もさらに後退してしまうのでしょうか。結局この小冊子は絶版になり、トラック7台分が焼却処分されました。これからの日本の性教育はどこへいくのでしょう。我々がしっかりした土台を築いていかなくてはいけないと再認識させられました。

小田洋美(性教協本部幹事)

 
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