性教育ニュース 【03/02/11】
『産経新聞』の回答と、それに対する再抗議文

 
  ■産経新聞からの回答(1月31日)

“人間と性”教育研究協議会代表幹事 浅井春夫様、村瀬幸浩様

1月10日付「抗議文」に対する回答

産経新聞社社会部長 平田篤州

「抗議文」の項目に沿って回答いたします

1)ご指摘の表現は、貴団体の機関誌「創刊の辞」にある「この先進の志を引き継いで、不死鳥の如く飛び立とうとしている。これこそ山宣の性教育〈科学・人権・自立・共生教育〉を受け継ぐべき私たち後進の責任ではないだろうか」など貴団体幹部による記述、発言などから総合的に判断したものです。また、貴団体が山本宣治の思想に共鳴し、山本宣治を支持しているという趣旨の記述は、これまで公刊された出版物にも多く見られ、一般的評価となっていると考えます。

2)ご指摘の発言は週刊文春(平成4年6月11日号)にも引用されたことがある山本直英氏の講演内容です。

3)「性教協の影響を受けているとみられる」のは相模原市教委のことであって、次のセンテンスとはつながっていません。

4)ご指摘の点は、高橋史朗明星大学教授が『間違いだらけの急進的性教育』(黎明書房、平成6年)第2章3「山本直英氏の批判に答える」で基本的な反論はしていますので、あらためてお読みください。

貴団体の皆様のますますのご発展を祈念いたします。

 

■産経新聞からの回答に対する再抗議

2003年2月9日

産経新聞社社会部長 平田篤州様、渡辺浩記者様

1月31日付「回答」に対する抗議

 1月31日付にて社会部長名による「回答」を拝受いたしました。お忙しいおり「回答」をいただきましたことに、まずはお礼を述べたいと思います。
 しかし「回答」の内容は、私どもが指摘した抗議の内容をまともに受け止めたものとは到底思われません。その意味で不誠実さが浮き彫りになるとともに、12月16日付記事の虚構性が一層明らかになってきました。
 ここにあらためて抗議をおこなうとともに訂正記事の掲載を求めるものです。また面会による話し合いを求めます。その際、渡辺浩記者が同席されることを強く要望いたします。

1)私たちはあくまでも性教育の民間教育研究団体であり、その範囲で山本宣治を論じてきたのであり、政治的思想・イデオロギーに関して支持(意見に賛同すること)してきたわけではありません。そもそも民間教育研究団体が団体として特定の政治信条を支持することなどできるはずがありません。
 とりわけ悪質なのは2002年12月16日付の記事にあるように、「“人間と性”教育研究協議会」(以下、性教協と略記)そのものを「共産主義者」や「左翼思想」と意図的に混同させていることです。山本宣治が共産主義者であり、その性教育を支持している性教協は「左翼思想に基づく過激な」性教育を推進しているといったきわめて単純な三段論法によって読者に偏見を植え付けようとしていることです。それがあなたたちの「総合的に判断」したことなのですか。
 山本宣治の性科学の業績を学ぶことは、日本の性教育研究者にとって特別なことではありません。私たちが山本宣治を歴史的に評価する点は、性教育の開拓者としての存在であり、科学的な性教育の礎を築いた人物としての評価です。そうした意味で「創刊の辞」が書かれていることは誰の目にも明らかです。
 今後再びこうした性教協への独断と偏見に基づいた作為的な記事を掲載しないことを強く求めます。

2)「回答」によって、貴社の取材姿勢の不誠実さに驚愕をいたしました。著書などの客観的な資料ではなく、10年前の他社の週刊雑誌(それも悪意のなかで捏造された記事)をネタ本にし、孫引きしているとはあきれるばかりです。この事実を一つとってみただけでも12月16日付記事はまさしく虚構であったと認めるべきです。
 渡辺浩記者の社会部記者としての取材姿勢のいいかげんさを社会部長である平田氏は、よしとするのでしょうか。産経新聞・社会部の記事そのものの信憑性が問われてくるのではないでしょうか。
 『週刊文春』の記事などではなく、抗議文に引用したように、山本氏が書いた内容は極めて明快です。この点に関しては、どう回答されるのでしょうか。
 しかも私どもは特定の個人の意見によって左右される組織ではなく、集団による合議を尊重している団体です。
 もう山本氏個人(しかもすでに故人である)が書いたもの、話したことを恣意的につまみ出して団体のあり方を決め付けるような無礼はやめるべきです。

3)率直に言って、姑息な「回答」の姿勢です。新聞界の言論人であれば、記事に責任を持って堂々と「回答」をすべきです。
 指摘した箇所はこのように書かれています。「性教協の影響を受けているとみられる神奈川県相模原市教委が小中学校教員向け手引書に『ふれあいの性』『快楽の性』を明記していることが問題化。性道徳の指導を抜きに、避妊の知識と技術を教えるだけの“コンドーム教育”も全国に広がっている」と。そして高橋史朗明星大学教授のコメントが「・・・・・・日本では急進的性教育の蔓延などで性感染症や妊娠が増えている」と“指摘”しているのですから、この文脈が意味していることは明白ではありませんか。
 「問題化」とはいかなる事態をいっているのでしょうか。
 だいいち人間の性の3つの側面として、@性の生殖性、A性の快楽性、B性の連帯性があると考えることは、いわば性教育に関心を持つ人たちにおいては常識となっているものです。記者および産経新聞社自身の不勉強が露呈してしまっている問題です。
 「相模原市教委が小中学校教員向け手引書」にみられるように、「避妊の知識と技術を教えるだけの“コンドーム教育”」が全国に広がっており、その主要な責任を「急進的性教育の蔓延」にきせるといった件(くだり)になっていることも悪意の作文としか受け止められません。現在問題化している子ども・青少年の性行動・性意識をめぐる問題状況を性教協の責任に導くロジックを読者に植え付けているといっても言いすぎではありません。
言論人であるなら、文脈で何が語られているのか、その論旨がどのように読者に伝わるのかを真摯に考える姿勢を求めるものです。

4)高橋史朗氏の『間違いだらけの急進的性教育』の第2章3「山本直英氏の批判に答える」に対しても、反論をしていることは前回の抗議文にも文献をあげております。それをお読みになったのでしょうか。新聞社であれば、少なくとも両者の見解・主張をフェアに調べるべきではありませんか。高橋氏がその著書のなかで「この1年」(163ページ)とわざわざ限定して「・・・・・・あるはずがない」といった姑息な弁明をしていることも噴飯ものでしかありません。事実はいくらでもあります。

 「貴団体の皆様のますますの御発展を祈念します」というのであれば、すみやかに訂正記事を掲載するとともに今後このような妨害・干渉を止めるよう強く求めます。
 2月14日に平田社会部長および渡辺浩記者と面会した上で、あらためて抗議の意と私どもの要望を表明する所存です。

“人間と性”教育研究協議会
代表幹事 浅井春夫・村瀬幸浩

 
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