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『週刊新潮』編集部
酒井逸文様
大門宏樹様
2003年3月7日
2月15日付「回答書」に対する抗議
2月15日付にて「担当記事の担当デスクである酒井逸文、大門宏樹」名による「回答書」を拝受いたしました。
しかしその内容は「回答」にふさわしくないばかりか、誤りを強弁するにいたっており、編集部の誠実さが疑われるものでした。
以下、「回答書」の柱にそって抗議をいたします。
まず「これらの記事は小誌の取材に基づいて学校における『性教育』の現状をレポートし、論評の範囲内で批評したものであって、貴抗議書が主張するように、『“人間と性”教育研究協議会』を誹謗・中傷するものではない」と書かれていますが、『週刊新潮』(2003年1月23日号および1月30日号)の記事は事実・現実に即した批評(物事の善悪・美醜・是非などについて評価し論ずること)などといえるものではありません。「論評の範囲内で批評した」という文節も意味不明ですが、論評の前提になる「学校における『性教育』の現状」をどこまで正確に取材したというのでしょうか。性教育の実践そのものや実践者への取材ではなく、管理職へのインタビューや「関係者」、これまで全く性教育に携わっていなかった研究者のコメントで構成された記事となっています。
こうした文章が「誹謗・中傷」にならないのであれば、事実も確認することなく、何を書いてもいいということになりませんか。
以下、1月10日付抗議文および貴誌「回答書」の柱にそって問題点の指摘を再度行うとともに謝罪・訂正文の掲載を強く求めるものです。
1)「小誌編集部は、取材活動を行った上で記事を掲載しました」とありますが、性教育の現場や実際を取材したものではなく、きわめて特異な見解しか持たない人物への「取材」でしかなかったのではありませんか。その弁明のために「論評の範囲内で批評した」というのでしょうが、これらの「論評」の異常さに編集部の責任者はお気づきにならないのでしょうか。
たとえば1月23日号の教育評論家の大橋幸氏の「……パンツが丸見えのような状態ですが、性でもって男の子を惹きつけようとするのがあからさまにわかります。試験問題で、女の性器がどこだとやっている教育の結果でしょう」という“論評”も「論評の範囲内で批評した」といわれるのでしょうか。取材とは、事実から記事の材料をとることです。こうした“論評”が事実とはあまりにもかけ離れた内容であることは常識的に判断できることです。編集部の見識が問われている問題です。
2)1月10日付抗議文で「記事のほとんどが性教育の実践者ではない大学教員、国会・地方議会議員、教育委員会、学校管理職による、きわめて断片的で偏見にみちた発言をとりあげていることも共通した特徴です」と指摘したことに対して、回答書では「性教育のあり方は広く論議されるべき大きなテーマであり、性教育の実践者と自任する一部の教師たちのみの議論に委ねられるべき問題ではありません」と主張しています。
しかし「過激すぎる性教育」「ジェンダー教育の元凶」といったテーマで取材するのであれば、その具体的な実践を取材することが記事を書く上での基本姿勢ではありませんか。性教育実践の実際を真摯に取材しようと考えるのであれば、このような悪質な“論評”が並ぶことはないと考えます。部分的で恣意的な文章の引用や伝聞によるのではなく、事実に立脚した記事を書いてほしいものです。「性教育の実践者と自任する一部の教師たちのみの議論に委ねられるべき問題」ではないことは当然であり、だから一部ではなく多くの性教育の実践者の声を聞くべきではないでしょうか。一部の偏見に満ちた論者のみを登場させて記事を構成している編集のあり方こそ問題です。
3)回答書は「貴団体と無関係な副読本の引用に関し、なぜ貴団体より抗議をいただくことになるのか、合理的理由が見当たりません」と居直りに近い返答をしています。あまりにも誠意のない態度です。
1月23日付の記事では、「性教育の過激化は止まるところを知らないが、その背景に、一部の急進的な教育者グループの存在があるのだそうだ」と読者に先入観を与えたうえで、「文部科学省の関係者」なる人物が「『人間と性教育研究協議会』という団体です。ここのメンバーが出版している幼児や小学生向けの副読本には、性器の詳しい図があって……」と“解説“するといった展開となっています。性教育の過激化の背景に『人間と性教育研究協議会』があり、ここのメンバーが出版している副読本と展開するのであるから、そうした文脈をみても性教協に矛先が向けられていることは明らかではありませんか。
さらに「ポルノまがいと言っても差し支えない性教育」の「強力な支援団体がいたわけだ」と続くのであるから、性教協を攻撃するための恣意的な作文となっていることは明白です。
4)1月10日付抗議文で「重大な問題は、性教育の一部の資料を取り上げて、その実践のすべての発信が私ども性教協にあるかのごとくこじつけていることです。『一部の急進的な教育者グループ』というラベリングをおこない、『ポルノまがいと言っても差し支えない性教育』の『支援団体』として性教協の名称があげられていますが、これはまさしく名誉毀損であるといわざるを得ません」と述べていますが、酒井・大門両氏はそうしたラベリングは名誉を傷つけているとは考えないとの返答です。「教育現場を蹂躙するイデオロギーを撒き散らしている元凶」「過激な性教育の支援団体」「極端なイデオロギーの集団」として私たち性教協を描いていることは誰の目にもあきらかです。20年に及ぶ性教育の実践と研究をすすめてきた民間教育研究団体への誹謗と中傷であることに断固として抗議するものです。
また「執筆者自身のポルノ的視線が透けてみえて醜悪」でさえあることもあらためて確認できます。「過激な性教育」の理由として、性器の名称を教えたことにあるというのだから驚きです。人間のからだの一部として性器の名称を教えることがなぜ「問題」なのでしょうか。むしろ名称をあたえられないままであることや隠語などで呼ぶことこそ問題ではないでしょうか。からだ・性の学習のスタートとして性器の名称を教えることは必要な実践であり、自己肯定の視線をはぐくむことにつながっていく取り組みでもあるのです。
5)「文部科学省の関係者」なる人物のインタビューが匿名であることについて「記事の信憑性にも影響する重要事項であることは承知しております。しかしこの文部科学省関係者は、匿名を条件に取材に応じたという経緯もあり、名前を詳らかにすることは出来ません」と回答しています。「文部科学省関係者」は文部科学省のしかるべき担当部署の職員とは限らないわけです。「文部科学省関係者」が職務のなかで答えているのであれば、名前を出せないはずはないと考えますが、いかがですか。インタビューに答えたのならば、名前を出すことは公務員たるものの責務でもあると考えます。コメントも載せていない遠山文部科学大臣の顔写真を掲載していることも記事に権威付けをする意図があることは明白です。このような言い逃れをして記事を作ることが許されるならば、いくらでも記事を捏造できることになります。歴史のある雑誌がこのような姑息な手法を用いて記事を創作していることを残念に思います。
6)全く指摘した意味を理解しようとしない、居直りの回答でしかありません。抗議文で事実に基づいて統一協会のダミー団体との関係を指摘しているのであって、「統一教会信者」などと言っているわけではありません。第一私どもは高橋氏、山谷氏が信者であるかどうかに全く関心を持っていません。そのような「飛躍」をしているのはあなたがた編集部のほうです。ことは信者であるかどうかという問題などではなく、両氏の行動が統一協会の策動に与していたし、与していることであり、そうした人物を登場させる貴誌の編集のあり方です。両氏はこれまで『世界日報』で繰り返し国際勝共連合の政治方針にそった発言をされていたし、されていることは否定しようのない事実なのです。現に高橋氏自身も「不覚にも利用されたことはある」(『正論』4月号)ことをやっと認められました。
私どものホームページに載せた抗議文のなかから「統一協会のホームページへ直接ジャンプ」できることは、自らの目で統一協会を調べてもらうための措置で、何の問題もありません。そもそもあなた方は統一協会を「一宗教団体」と考えるのであるなら、「名誉を毀損する」などという心配は必要ないことなのではありませんか。
統一協会を純然たる「一宗教団体」と見ている両氏の見識に「首を傾げざるを得ません」。統一協会の犯罪性については、ここで解説をする必要はないほど社会的に認知されていることです。多くの裁判でその犯罪性に審判が下されていることを酒井・大門両氏はご存じないのでしょうか。信教の自由はあることは当然ですが、宗教に名を借りて犯罪を行う自由がないことも当然です。
また一連の性教育への攻撃が統一協会の新純潔宣言に基づいた策動と考えられること、および国際勝共連合の政治方針と深くかかわっていることを見ておかなければ、事態の本質はつかめません。
なお、私たちの抗議文によって「取材の自由や発言の自由を規制」をしているかのように回答されていることは笑止千万です。記事の虚構性を正々堂々と論理で指摘しているのであり、今後とも誹謗と中傷には断固として言論による闘いを続ける決意です。むしろあなた方の記事によって現場の性教育実践が「規制」されていることこそ記事に責任を持つ立場から正視すべきです。
最後に『SEXUALITY』第11号で、本格的な批判の論文として鈴木正弘「ここがおかしいよ!『週刊新潮』」を掲載することになっています。貴誌の記事がいかに歪んだ視線で“人間の性“を見ておられるのか、その偏見と政治的意図を明確に論評しているので、一読されることをおすすめします。
以上、回答書の柱にそって、回答内容が全く説得力のないことを指摘してきました。すみやかに訂正記事を掲載するとともに今後このような妨害・干渉を止めるよう強く求めます。
“人間と性”教育研究協議会
代表幹事 浅井春夫・村瀬幸浩
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