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ニューズウイーク誌で「始まった純潔教育バトル」という特集が組まれました。「ブッシュ大統領は、98年に6000万ドルであった純潔教育の予算を1億3500万ドルに増やす方針だ。親なら誰もが、10代のわが子にセックスをして欲しくないと思うものだ。ただし、そのための指導法については意見が分かれる。SIECUSなどの『包括的な性教育』を指示するグループや多くの医療関係者は、純潔教育に加えて、セックスに伴うリスクを軽減する方法も伝えるべきだと主張する。親の大多数は包括的な性教育を指示しているが、政治的な熱意は純潔派が上回る」(日本語版、2003年1月29日)
アメリカの情報教育協議会であるSIECUSは、純潔教育は年齢と共に高まる子どもたちの性的関心に対処する助けにはならないと考え、様々なデータを収集分析しながら性教育のプログラムを作成し、コンドーム等の器具を使って、具体的な予防策を教えようとしています。一方、純潔派は、恐ろしげなスライドで恐怖を植え付ける方法が主流だと言います。
実際に、性教育に取り組んだことのある教員ならば、このバトルで、どちらが効果的な性教育なのか、すぐに答えが出せることでしょう。セクシュアリィに関する学習の機会がないままに教職に就いて、性教育に取り組めば、「脅す、遠ざける」という安易なスタイルしか思い浮かびません。性教育を試みたことのある教員が陥りやすい「純潔教育」は、妊娠・中絶・性病などの不幸な症状や事例で脅し、それでも性に近づく子どもを責め、中退学などの処分をしていました。その結果、いつしか、子どもたちは、教員を信用しなくなり、学校の性教育力を見限り、ポルノ、性暴力、性犯罪から、性を学習してしまうことになったのです。「今時の子どもは理解できない」と言い、子どもを突き放した大人と、子どもたちとの溝は深まるばかりとなりました。社会的に弱者である子どもと女の性を合わせ持つ「少女」は、二重の性的な弱者差別を受け、「援助交際」でも、攻撃の的にされてしまいました。また、純潔や結婚を強調しすぎて、性被害を受けた子、中絶経験のある子、離婚家庭の子、同性愛や多様なセクシュアリティの子を阻害することになったのです。
包括的な性教育の考えを指示して下さる保護者が多いのも、わが子と向き合う中で、純潔を守るためには、テレビ、電話、インターネットなどの情報や友達との交流も経ち、閉じこめて隔離するしかなく、それは不可能であり、子どもに性の自己決定能力をつけるしかないという結論に達するからでしょう。
しかし、ブッシュ政権にとって、純潔教育は保守派の有権者の共感を呼べるなど、政策のうえで魅力的なテーマであり、アメリカでのバトルは、ますます精力的に展開されることでしょう。私たち国にも飛び火し、すでに一部メディアは「アメリカは急進的な性教育を反省し、純潔教育に回帰している」という情報にすり替えて伝えています。私たちは、性教育により子ども達が「自分や相手や社会について考えることができ、性行動に慎重になる」と言う事実を実証的にも、データとしても提示していく方法を考えていく必要があると思います。また、性教育の効果を共感的に知らしめていくためには、性教育を学んだことのある子どもを増やし、彼ら自身によるピア・エデュ・ケーションという学習のスタイルも、提起していきたいものです。すでにエイズの予防啓発活動のピアエディケーションに取り組んでいる「川口子どもネットワーク」代表の倉田流成さん(中学3年生)は、次のようなメッセージを発信しています。
「僕は昨日、原爆資料館に行きました。広島の歴史については色々と知っているつもりだったけど、実際に見学してみると想像以上のことが起きている現実として受け入れられないような感じでした。そんなことがあり、平和について考えることがとても大切だと思いました。広島の歴史、原爆について学ぶことも平和への立派な第一歩です。ですが今の社会はいろんな問題があります。エイズや同性愛、様々な病気への偏見、障害をもった人への社会的差別など、そんな人たちが楽しく安心して暮らせるような社会じゃないと本当の平和とは言わないと思います。そういうことを見つめられる広い視野と心を持って平和.というとても大きいテーマのついてこれから学び、考え、行動をしていこうと思います。過去を忘れないことはとても大事なことで、それはそのまま未来を考えていくことなのだと思います」(「メッセージ・フロム広島」2002年8月)
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